9月の生協品質~原料はさつま芋と油と砂糖・糖蜜だけ。 だからこそ、素材と技にこだわります。

残暑はまだまだ厳しいものの、9月の声を聞くと、朝夕の風に涼やかさを感じることも増えてきますね。秋の訪れとともに、食欲の高まりを感じる方も多いのではないでしょうか。そんなみなさんにご紹介したいのが、コープのお店でも秘かな人気を集めている「CO・OP九州の芋けんぴ」です。
さつま芋の素朴な味わいとポリッと歯ごたえのある食感に、「1本食べたらもう止まらない!」なんて声も。今回は鹿屋市串良町にある「CO・OP九州の芋けんぴ」の製造工場を訪ね、「クセになるおいしさ」を生み出す秘密を伺ってきました。

 

1本食べたら、もう止まらない!黄金色の素朴なお菓子「芋けんぴ」

3度揚げして糖蜜をからめたもの。できたてはまた格別。鹿児島では「芋かりんとう」と呼ばれることも多い「芋けんぴ」。さつま芋が原料なので鹿児島のお菓子かと思いきや、高知の伝統的な郷土菓子なのだそう。
「CO・OP九州の芋けんぴ」を製造しているのも、昭和27年の創業以来、さつま芋菓子一筋という高知県の老舗メーカー「澁谷食品(株)」です。芋けんぴの生産量が全国シェアの50%、名実ともに〝日本一の芋けんぴメーカー〟なんです。
この「澁谷食品(株)」は昭和56年に「原料である芋の品質と鮮度が命」と、さつま芋の本場・鹿児島県大隅半島に九州工場を設立。大隅と宮崎の契約農家による芋の栽培から商品の加工、包装までを自社で一貫して管理しています。
    37年前からおつき合いのある契約農家の山下建さん。芋の収穫時期(8月~11月)は多忙な日々が続きます。
「皮が黄金色になったら完熟のしるし!」と契約農家の一人、山下建さんが畑から掘り出したばかりの芋を見せてくれました。
芋けんぴの原料となるのは、ほどよい甘さとホクホクした食感が特長の「黄金千貫(コガネセンガン)」という品種。工場の担当者が契約農家の畑を回り、土づくり、畑の管理、収穫までを常にチェックをします。農家にとっては大変なことばかりですが、「おかげで品質には自信があります。厳しいほどやり甲斐がありますよ」と山下さんは誇らしげに胸を張りました。
 糖蜜をからめた後、乾燥させると、「芋けんぴ」ならではのポリポリ食感が生まれます。
さて、工場に運び込まれた新鮮なさつま芋は、きれいに洗浄され、人の手と目で選別されてから、いよいよ「芋けんぴ」に生まれ変わります。
その工程は「さつま芋を細切りにして油で揚げ、糖蜜をからめるだけ」と聞くと、家庭でも手軽に作れそうな気がしますが…。
  澁谷食品・九州工場長の森本智一さん。「素材そのもののおいしさを味わってくださいね」。「この味と食感を出すにはけっこう大変なんですよ。揚げ方一つでも、クセがなくて軽い菜種油、コクがあっておいしい国産米油、酸化しにくいパーム油の3種類をブレンドしたオリジナルの油を使い、色を均一にするために3度も揚げます。芋の状態を見ながら油の温度や揚げ時間を変えるんですよ」と話してくれたのは、九州工場長の森本智一さん。糖蜜の配合やからめ方、乾燥の時間や温度によっても味や食感が変わるのだとか。
素材や工程がシンプルだからこそ、長年、芋けんぴを研究してきた老舗メーカーならではのこだわりが隠されているのですね。

(取材・原稿 西郷郁子)

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【写真左】芋の収穫期以外は、2度揚げして定温(12〜18℃)倉庫でストックしておいたものを味つけして出荷します。

 

CO・OP九州の芋けんぴ
160901imokenpi09.jpg●高知県のメーカー「澁谷食品株式会社」が製造
●原材料はさつま芋・砂糖・植物性油脂・オリゴ糖のみ
●鹿児島県・宮崎県の契約農家が栽培したさつま芋(コガネセンガン)を使用
●前日収穫の芋を基本に、新鮮なうちに加工