あさりの貝汁の本当のおいしさを知っていますか?

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店頭には一年中並んでいますが、実はあさりの旬は春。産卵期を迎えて身がぷりっと大きくなる3~5月が一番の食べ頃だそう。そこで今回は、鹿児島南エリアの3人の組合員と一緒に、生協コープかごしまの「活きあさり」の産地である熊本県の有明海まで出かけてきました。そこには、誰もが「こんなの初めて!」と驚いた、おいしい貝汁との出会いがありました。

あさりは一人前250g。おいしい貝汁の基本です。

160301mc-005.jpg干満差が大きく、広大な砂の干潟に恵まれた熊本県の有明海沿岸は、昔から良質なアサリの漁場として知られています。その日、私たちが向かったのは、生協コープかごしまの「活きあさり」の漁・砂抜き・選別作業などを手掛けている熊本市の「株式会社丸恵」。社長の吉田旭宏さんは、鹿児島の学習会で何度も講師を務めている“あさりのスペシャリスト”です。
さっそく、吉田さんの案内で有明海に隣接する加工場を見学させてもらいました。夜中のうちに収穫されたあさりが入った砂抜き専用の水槽を示しながら、「冬場は真夜中、逆に夏場は昼間が干潮なので、一番寒い時と暑い時に仕事をするのがあさり漁師の宿命。選別や袋詰め作業も、あさりの鮮度を保つために朝一番の配送に合わせて夜中に行うことがほとんどです」と語る吉田さん。それを聞き、「皆さんのご苦労のおかげで私たちはおいしいあさりが食べられるんですね」と組合員の3人もしみじみ…。
160301mc-006.jpgその後、特別に選別作業の様子を見せてもらうことに。コンテナに入れたあさりをザッザッと振りながら、目、鼻、耳の感覚を研ぎ澄ませて異物や商品にならない貝をアッという間に取り除いていく姿に、「さすがプロの技ね!」と驚きの声が上がりました。
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そして、真冬の工場見学ですっかり冷え切った私たちを待っていたのは、吉田さんご自慢の貝汁!「まずは味噌を入れずに食べてみて」と、お椀に山盛りのあさりが入った“潮汁(うしおじる)”を渡されました。一口すすって「わあ、おいしい!」「何ともいえない貝の旨味が出てるね!」と口々に感嘆の声を上げる取材陣。

この潮汁、材料はあさりと水だけなのに旨味も塩味も十分です。次に、薄く味噌を溶いたものをいただくと、こちらもアサリの濃厚な旨味とほんのり香る味噌の風味が相まって、今まで食べたことのないおいしさ!

160301mc-002.jpgのサムネイル画像「この味を出すコツは一人前250g以上のあさりを使うこと。流水でこすり洗いしたあさりと、ひたひたの水を鍋に入れて火にかけ、殻が開いたら火を止める。あとはあさりをお椀に取り分けて、残った汁に味噌を溶くだけ。僕らに言わせるとこれが本当の貝汁なんです!」と満面の笑みで語る吉田さん。まさに“あさりが主役”なのですね。
産地を実際に訪れ、漁師さんや加工場の方々のご苦労やこだわりを肌で感じた三人。「このおいしさをもっとたくさんの組合員にも伝えなくちゃね!」と気持ちも新たに帰路に着いたのでした。

(取材・原稿 西郷郁子)

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【写真左】加工場に隣接する漁場の前でおいしい貝汁をいただきました。
(鹿児島南エリアの組合員、左から副会長理事の上釜さん、理事の豊田さん、サポーターの山崎さん)